top of page

加古川刑務所見学

  • 加藤
  • 2月7日
  • 読了時間: 7分

 現3・4年生が集まる2025年度最後のゼミ活動として、2月4日(水)に、兵庫県にある加古川刑務所へ見学に行きました(来年度ゼミ履修予定の現2年生のうち、希望者も参加しました)。加古川刑務所は、以前見学に行った名古屋刑務所のような一般的な刑務所とは異なった少々「特殊」な特徴を持ち合わせており、それゆえ所内見学では、今までも何か所か刑務所を見ているとはいえ、ただただ驚くばかりの初めて耳にする情報が盛りだくさんでした。それを踏まえて、以下、今回の活動を振り返りたいと思います。

 

 はじめに、刑務官の方から、加古川刑務所の概要や大まかな沿革などについて、ご説明いただきました。

 施設の特徴としては、犯罪傾向の進んでいない刑期10年未満の男子懲役受刑者、禁錮受刑者、交通事犯受刑者、女子受刑者、拘禁刑受刑者、労役場留置の者が収容されています。それに関連して、多くの刑務所にもある男子受刑者を収容するための「一般区」のほか、女子受刑者を収容するための「女区」、交通事犯の男子受刑者等を収容するための「開放区」があります。1つの刑務所の中に、3つの区分けがあること、さらに各区で処遇の違いがあることに衝撃を受けました。また、「開放区」の一部の受刑者には機能別作業として、刑務所職員の同行なしで刑事施設以外の民間事業所に通勤させて作業を行わせる「外部通勤作業」が行われています。さらに「開放区」では、食堂、工場などには「施錠をせず」、受刑者は工場などを自由に移動できるのです。面会も職員の立ち合いなしで実施できます。刑務所のイメージとは相反する加古川刑務所の特徴に度肝を抜かれました。もちろん、「開放区」とはいえ、「コンビニ行ってきます」などはできませんので、受刑者が不用意に塀の外に出るということはありません。

 沿革については、加古川刑務所は昭和23年(1948年)5月に、旧大阪陸軍航空補給廠神野分廠の跡地に「大阪刑務所所管加古川建築場」として発足しました。そのため、説明を受けた会議室には旧陸軍の爆弾が展示されていました(安心してください、爆発しませんよ。さもなければ、今回の記事は完成していませんから(笑))。また、平成19年(2007年)には、民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法であり、あくまで地方公共団体が発注者となり、公共事業として行うものである「Private-Finance-Initiative(通称:PFI事業)」を、播磨社会復帰促進センターの運営開始と連動して導入しました。いったんはPFI事業が終了しましたが、令和6年(2024)4月から、PFI事業による給食業務の提供が開始されており、名古屋刑務所などの多くの刑務所では「自営作業」として受刑者の食事は担当の受刑者が調理していますが、加古川刑務所では、民間の会社が受刑者の食事を調理しています。このPFI事業については、萩野先生の刑事政策の講義においても取り扱われた内容でありまして、事前学習ができ、さらに自分たちの目で実際に見ることができ、より一層知識が深まったことについて、非常に感謝しております。

 

 次に、実際に所内を見学しました。「女区」の工場では、某100円均一ショップの洗濯ばさみの袋詰めを行っていました。不良品が発生したり、納期が遅れたりする場合には、作業を依頼した会社からクレームが来るとのことで、班長がしっかりと指揮を執って仕上げているそうです。「一般区」の工場では、金魚すくいで用いられる「ポイ」の作成を行っていました。この工場では、バリアフリー化が進んでおり、車椅子のままでも作業ができるようになっており、AEDも常備されていました。さらに、BGMが流れており、衝撃を受けました(BGMが流れている工場は初めて…!!!)。さらに別の工場では、ソファーの製作を行っており、全国的にも珍しい刑務作業とのことでした。CAPICで買えますので、ぜひ皆様お買い求めください(笑)。

 また、受刑者が生活する居室も見せていただきました。加古川刑務所オリジナルの設備がありまして、それは、居室に面した廊下にカーペットが敷かれているのです。刑務官は所内の巡回も仕事の1つであり、日中はもちろん、夜中でも行います。しかし、夜中に「コツコツ……ドンドン……」という巡回する足音が聞こえたら、受刑者は眠りにつくことができません。それを防止するために、衝撃を吸収してくれるカーペットを居室前の廊下に敷いているのです。カーペットを見た時は頭にクエスチョンマークが浮かんだ私も、理由を聞いて納得しました。また、近年は寒さも厳しくなっているとはいえ、受刑者を凍死させるわけにはいかないので、限られた予算の中でもストーブや電気毛布を用いて寒さをしのいでいます。とりわけ、高齢受刑者の場合、「痴呆」により窓を開けたことを忘れてしまい凍え死ぬ可能性もあり、その対策として窓の施錠をしっかりと確認するそうです。

 そして見学時には、加古川刑務所の広大な土地を歩くわけですから、建物以外にも関心を引くものがありました。紹介します。まず、ビニールハウスの畑があります。現在は玉ねぎや大根を5名ほどの受刑者が育てているとのことです。次に、原動機付自転車があります。これは敷地面積ゆえに移動が大変なため、刑務官が使用するとのことです。受刑者が逃走に使わないように、鍵の管理は厳重に行われています。そして、受刑者が手入れをしている日本庭園のような木が散見されます(盆栽と言った方が良いかもしれません)。美的センスが問われますね。職人レベルの技量を持った受刑者もいるのでしょうか……?(質問すればよかったなぁ、悔しいです)。最後に、信号機や道路標識があります。現在は使われていませんが、過去には免許の更新に用いられていました。小さめの自動車学校の場内コースをイメージすると分かりやすいと思います。これらも一般の刑務所ではそれほど多く見かけない設備だと思いますので、やはり加古川刑務所は特徴的だなぁという印象を受けました。

 

 最後に、4つのグループに分かれて、刑務官の方と対話型の情報交換を行いました。私たちが疑問に思ったことを質問するとともに、刑務官の方からも大学生活について質問をいただきました。その質問で得ることのできた、私が1番面白いと思った話を皆さんと共有したいと思います。それは「刑務所の居室のトイレにはトイレットペーパーがない」ということです。その理由は、首に巻き付けて自殺を図る者がいるから、とのことです。その代わり、刑務所の居室のトイレには「ちり紙」が置かれています。しかしこの「ちり紙」、「硬め」なんだそうです。手洗い場においてある使い捨てのタオルペーパーに近いとのことでした。そのため、お金がある受刑者はそれを使わず、自分専用の物を外部から購入するそうです。もちろん、お金のない受刑者は買うことができませんから、受刑者間の経済格差が一目瞭然と刑務官の方は仰っていました。かなり興味深い話ですよね、印象に残りました。

 今回の加古川刑務所見学もなかなか深い内容、それもインターネットで検索しても出てこない内容を知ることができました。ゼミ生として生活できるのも、残り1年。最後まで、全力でいろんなことを学ぼうと思います!!!次回のゼミ活動(春合宿)からは、現4年生が抜け、現2年生が参加し、新メンバーで心機一転スタートします。後輩たちに負けないように私も切磋琢磨するつもりです、頑張ります!!!

 

 最後までお読みいただきありがとうございました。そして、今回の刑務所見学を企画していただいた萩野先生はもちろん、矯正職員の皆様、その他関係者の皆様に大変お世話になりました。ありがとうございました。


 

 ちなみに、1泊2日で行きまして、1日目は刑務所見学でしたが、2日目は神戸に宿泊して、各自散策をしました。中華街に行く人や、阪急電車で乗り鉄をする人、「BE KOBE」で写真を撮る人などがおり、私を含め、刑務所見学で疲れていた、そして夜更かしをしたはずが、皆さん生き生きと観光を楽しんでおられました。

 最後のブログ担当だからこそ書かせてください。萩野ゼミ、最高です。ありがとう。後輩たちに「ブログ書くのは楽しいよ」って伝えなきゃ、エッホ、エッホ……。




bottom of page